街なかの小屋たち⑤ベーハ小屋の魅力
山沿いに建つベーハ小屋。愛媛県や香川県の農村風景の１つ
「ベーハ小屋」と聞いて、すぐにピンとくる人はほとんどいないでしょう。これはタバコの葉を乾燥させるために使われていた小屋の総称です。小ぶりな蔵のようなプロポーションに換気用の越屋根と地窓、点検用の小窓がちょこんと付いた、なんとも可愛らしい建物なのです。
2棟が建ち並ぶベーハ小屋。左の建物は窓を設けて居室として使っていたようだ
このベーハ小屋、昭和20年代から30年代にかけてたくさんつくられ、今でも日本全国に点在しています。面白いのは、どの地域にあるベーハ小屋も大きさやかたちは似通っているということです。
これはタバコの葉が専売品であるため、当時の農商務省・専売公社が乾燥方法などを指導して普及させたためです。ただし、地域固有の材料でつくられているので、屋根や壁の仕上げ材料には地域ごとに個性があり、独特の外観をつくっています。これもベーハ小屋の魅力です。
風景に溶け込む作為のないプロポーション
都市部では宅地開発が進んだ結果、ベーハ小屋は取り壊しが進み、最近ではあまりみることはできなくなっています。それでも、愛媛県や香川県などにはベーハ小屋がまだたくさん残っており、地元ならではの景観をつくっています。
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