「DIYとデザインの力で、人と街を興す。世界初のDIYメーカー、石巻から。」このキャッチフレーズのサインに惹かれて立ち寄ってみたのは、IFFTインテリアライフスタイルリビングに出展していた㈱石巻工房のブースです。

石巻工房は2011年の東日本大震災直後に大きな被害を受けた宮城県石巻市沿岸部の商店街で生まれた「地域のものづくりの場」です。誰でも自由に使える街の工作室といったイメージでしょうか。震災前から石巻市内で仕事を請け負っていた東京の建築家芦沢啓治さんが中心となり仲間とともに立ち上げました。芦沢さんはイケアの家具デザインの経験もあるデザイナーです。

石巻工房は震災の年の夏祭りに企画された屋外での映画上映会のために、石巻工業の高校生と一緒に40脚ほどのベンチを製作し納めました。人々はそのベンチに座って映画を鑑賞したそうです。その後も継続的に地元の人たちへ技術指導やワークショップを行っています。2014年3月11日に法人化し、石巻の鮨職人だった千葉隆博さんが芦沢さんと共同代表になり、工房長を務めるようになりました。

共同代表で工房長の千葉さん

石巻工房の家具は主に2×2材と2×6材などの規格材で構成されています。これはDIY好きの人たちが「ホームセンターで材を買ってチャレンジできるように」という思いも込められているそうです。若手デザイナーがデザインを提供し、石巻工房が形にしていきます。

　AA STOOLという家具は26×90mmのデッキ材だけで作られています。横からの姿がアルファベットのAに見えることから名付けられています。それが2脚セットになっていて様々なシチュエーションで様々な使い方を演出します。例えば二つ合わせて1脚のスツールとして、二つを離して上に板を置くとテーブルとして、もちろん独立した１脚でも使えます。大きさも高さが異なった3種類から選ぶことができます。シンプルな形ですがアイディアが詰まった商品と感じます。

これからも新しい商品のデビューが待ち遠しくなるDIYメーカーです。

AA STOOL　　横からみるとアルファベットのAの形をしたAA STOOLは2脚で様々な使い方をアレンジできる。

少し離して上に板を乗せるとテーブルとしても使える。

㈱石巻工房　宮城県石巻市渡波字栄田164-3

http://ishinomaki-lab.org