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*編集部~後編~ ママたちのDIYは、ただのDIYじゃない!『come home!』編集長 八木優子さん×つるじょ みりさん 

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子育て中の主婦ら女性の間で盛り上がりを見せるDIY。暮らしを楽しむための手段やライフスタイルの一つの在り方として注目を集めている。

女性向けのDIY指南書として多くのママたちに愛読される『come home!』の八木優子編集長と、大阪市鶴見区にある「みどりの雑貨屋鶴見倉庫」をリノベーションした主婦クリエイターチーム・つるじょのメンバー、milyさんに女性によるDIYについて語り合ってもらった。

 

アンティークな家具が映える家に

ヘタでもいいから自分たちが好きなテイストに

 

――いま、つるじょのメンバーのように女性によるDIYが広がりを見せていますが、八木さんが『come home!』を立ち上げたころ(約10年前)は、どんな感じだったんですか?

 

 八木 アンティークなものや古い日本の家具が好きという人たちが、「家に置いても全然映えない」というのが悩みの種で、「なぜだろう」と考えたら、無機質なビニルクロスや複合フローリングのせいだろうということになって。けれど当時、腕のある大工さんや職人さんたちはコテ跡を残した漆喰塗りやラフな仕上げの無垢の床板張りなんかは「きれいじゃない、そんな雑なことはできない」とやってくれなかったんです。それならば「ヘタでもいいから自分たちの好きなテイストでやってみようよ」と。実は、『come home!』はそんなところから始まったんです。

最初のころの企画で、築45年のアパートを提供してくれる人を見つけて、ライターさんと2人で全部思い通りのデザインで、玄関とキッチンをリノベーションしてみようってことになって、当時はリノベーションとは言わなかったんですが(笑)。それで挑戦したんです。例えばキッチンのモザイクタイルは張り方も一から勉強して、素材も自分たちで取り寄せて。すっごく楽しかったことを今でも鮮明に覚えています。

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失敗を繰り返して上手になる

色塗りは男性には任せられない(笑)

 

――何でも上手にこなしてしまうイメージのあるmilyさんですが、DIYで失敗したりすることはあるんですか?

 

mily たくさんします(笑)。失敗を繰り返してうまくなっていくんです。ですので、失敗したらどうしようと思い悩むことはありませんね。失敗しても当たり前ぐらいな感覚です。失敗からアイデアが生まれることも多いんですよ。特にペイントなんかは、失敗の中から見つけ出すことがとても多いです。こうしたら剥げてしまった、ならば剥がすときにはこうしようという新しい技になるんです。で、これ、発見だ!自分の技だ!って喜んでいると、本に書いてあったりして、みんな考えることも失敗も同じなんだなあって笑っちゃいます(笑)。

 

 八木 うちの読者の方でも、新しいことにチャレンジする人は、難しいことって考えないんです。完ぺきにしようと思ったら、一つのものをつくるのにものすごく時間がかかってしまうし、動き出せないですよね。衝動的に、ワーッとやる人が多いですね。楽しむためにやっているので、いろいろ考えすぎない方がいいみたいです。やりながらどんどん上手になっていくみたいです。

 

――流行は意識しますか?

 mily 流行りは追いません。自分の好きな世界を突き詰める感じです。昔からそうですね。ナチュラルな感じが流行っていても、ジャンクな感じが好きだったり。逆に流行っていなくても自分が好きになったら極めたいです。マニアックなんです(笑)。錆加工ひとつとっても、自分が納得するまでやりますね。つるじょのメンバーも私がやり出したら止まらないってわかってくれているので、のめり込みだしたら、放っておいてくれるのがありがたいです(笑)。

 

八木 『come home!』でもmilyさんに出ていただいて、アンティークペイントのやり方を写真に撮らせてもらったんですが、本格的だなと驚きました。ショップでアンティーク風の家具をつくって売っているプロの人のような熟練のテクニックを駆使しているのを見て、「すごい、職人だ」って思いました。

 

mily でも実際は、大ざっぱは大ざっぱなんですよ。アンティークな塗り方のコツは大ざっぱだと思います(笑)。きれいに塗るより大胆に。全然、丁寧じゃないんです。ワークショップでも「適当に」って言葉を何回も使って、参加者さんから「適当に」ばかり言っているとツッコまれることがありますね(笑)。

 

 八木 女の人は感覚的に色を塗るのが得意なのかもしれませんね。だんなさんに色を塗ってもらうと、「きれいに塗りすぎて全然可愛くない」という女性の声は、よく聞きますね(笑)。

 

 mily 塗るのは男性には任せられないですね(笑)。「そんなに汚すの?」と驚かれたりします。せっかくきれいにつくったのに、と。男の人はお店のコーナーに売っているようなきれいな製品が好きですよね。

 

 八木 たしかに男の人は、きれいにきっちりつくることにすごくこだわりますよね。

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ママのための本『come home!』

暮らしを楽しみ、家族を元気に

 

――DIYの指南書として多くの女性たちに愛読されている『come home!』ですが、どんな想いで編集されているのか聞かせてください。

 

 八木 『come home!』のメイン読者は、ママを中心とする女性です。インテリア好きの人のためにつくった本ではなくて、「ママのための本」なんです。子どもを育てながら、家の中に閉じこもっている時間にも、「こんな楽しいことがあるんだ、できるんだ」ということを伝えたいんです。家にいる時間を使って、自分の手で自分たちが居心地のいい空間をつくることができる。ママが楽しんで幸せで輝いて、それで家族もうれしくなって、しかも居心地のいい空間もできちゃう、そんな形が理想です。ママが日々を、暮らしを楽しむということを提案してきたつもりです。

 

 mily 素敵な話だなあ。すごく共感します。家族ってお母さんが笑っている家族が一番幸せな家族なんだと思います。やっぱりお母さんが自分自身が楽しまないと家族を楽しくすることはできないと思います。

 

――お母さんのDIYにお子さんたちはどんなふうに反応しますか?

 

mily 私が常に何かをつくっているせいか、特に小学6年生の娘は、ものづくりに敏感に反応します。「今度は何つくってるの?」と。本人も部屋を飾るのが好きですね。子どもたちも一緒に作業したがるので、どうせならと娘や息子の友達を集めてミニワークショップをして何かをつくったりすると、子どもたちは本当にすごく喜びます。ものづくりが身近にあるってとてもいいことだと思います。

 

八木 子どもがお母さんのまねをするってとてもいいことですね。

 

――八木さんは、自らDIYもされるそうですが、どんな時にするんですか?

 

八木 仕事で煮詰まった時です(笑)。すごく癒されます。読者さんからも、子どもを叱り過ぎてしまった夜、眠る前に『come home!』を読みながら、「次は何をつくろうかな」と考えているうちに「気持ちを切り替えて穏やかになることができた」といったような声も聞きます。

 

mily わかるなあ。つくったものを見るだけでも、ニヤッてしてしまう時があります(笑)。

 

八木 人にも見せたくなっちゃうし(笑)。常につくれる時間があるわけではないけれど、つくりたいものを、ずっと頭の中であたためておくのも楽しいんです。

 

mily そうなんです!その頭の中で考えるのがすっごく楽しいんですよね。私も頭の中につくりたいものがたくさんあります。その間にもいろいろな情報が入ってきたりして頭の中で進化していきます。

 

八木 それでできたときの満足感は、何にも替え難いですよね。

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今後のDIYの可能性

「ママが楽しめば日本の家づくりは変わる!」

 

――八木さんに女性によるDIYの今後の可能性についてお聞きしたいのですが。

 

八木 DIYの始まり、原点は、「日本の家ってつまらない」ということなんです。塩ビのクロスや新建材の複合フローリングで、どの家もみんな同じになってしまい、何を飾っても映えない。そこに違和感を持ち、自然の素材の雑貨やグリーンなどが似合う家にしたい、可愛くしたい、素敵にしたいという人たちが一生懸命DIYをして、それが結果的に日本の家づくりを変えてきているという感覚があるんです。

創刊した10年前は、漆喰で無垢材の家が1500万円で建つなんて絶対あり得ませんでした。当時は、ハウスメーカーの住宅展示場に行って、例えば漆喰の壁やキッチンにタイルなんてできない、やれたとしても4000万円以上かかると、こてんぱんに打ちのめされて、あきらめて建売を・・・というケースをよく聞きました。そこから自分で始めるDIYという発想が生まれたんです。ママが、キッチンはこうすれば使いやすいと考えて自分でカウンターつくったり、棚をつくったり。それを紹介した『come home!』を持った施主が工務店さんにこんなふうにしてほしいとお願いするところから、そこを熱心に研究する工務店さんが現れ、自然素材や無垢材を使いながらコストを抑えて家をつくるといった流れが生まれて・・・。

(ママたちは)もちろん自分の満足のためにDIYをやっているんだけれど、実は意外と日本の家づくりを変えているのかも。だから最近は、「ママが楽しめば日本の家づくりは変わる!」なんて思っているんです。

 

mily やっぱり一番大切なのは好きであることだと思います。自分で好きでやるのとそうでないのとでは、全然違うと思います。

 

――『come home!』の最新号(7月号)の見どころを教えてください。

 

八木 7月号は、「わが家をヴィンテージの趣に」というタイトルで、これは本誌的にはチャレンジ企画なんです。

 

mily とってもかっこよかったです。

 

八木 ありがとうございます!うちの読者さんには、もともと「古いものが好き」という人が多くて、新しいもの、息をしていない生きてないものに囲まれていると息苦しいし、特に子育てをしていると、そういう空間は住みづらいという感じがあるみたいなんです。かといって骨董品など、本物のヴィンテージ品は高価で気軽には手が出せない。そこで自分たちで古いものを再現してつくって落ち着く空間にしよう!というのが7月号のテーマで、かっこいいおうちがたくさん出てきます。古いものの良さって、人の気持ちがつながっているところにあると思うんです。そういうことにも思いをはせながら、古いものが似合う壁にしようなどといった提案を盛り込んでいます。実際に古道具をたくさん持っている方が登場したり、おじいちゃんやおばあちゃんから受け継いだお皿を子どもたちに使ってもらいながら、ものに込められた思いやものを大切にする意味を考えてもらうといった内容もあります。

 

――次号(8月号)は、どんなテーマでいくんですか?

 八木 8月号のタイトルは「2時間でできるおうちデコ」。いろいろな読者の方に話を聞いているうちに、電動工具をバリバリ使って、長い時間をかけてDIYをするのが、なかなかハードルが高いと感じているママたちが多いことがわかったんです。そこで子どもが幼稚園や学校に行ってから帰ってくるまでの時間の中でつくることができるものを提案してみようと。2時間くらいでできるんだけれどすごく子どもが喜ぶといった、そういうものがたくさん出てくるものになります。

 

mily すごく楽しみです。

       ………ママたちのDIYは、ただのDIYじゃない!「家族を元気にし、ニッポンの家づくりと暮らしを変える!」と、お二人が抱く素敵な夢や熱い想いが伝わってきました。ありがとうございました。

 

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